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糸柳ブログ

2022.11.12糸柳便り

【泉質別】温泉の効果・効能を紹介|入浴で得られる効果も解説

この記事では、泉質別の温泉の効果や効能について紹介いたします。これから温泉旅行や温泉療養に出かけようと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。泉質ごとに違う効能があり、きっと新たな発見があるはずです。


温泉には一定の医学的効果があると知られ、環境省によれば「温泉療法」では、「症状や苦痛の軽減」「健康の回復、増進」など、全体的な改善を促すような効用があると紹介されています。具体的には、温泉の含有成分や、入浴の温熱作用などが、心理反応・生体反応を引き起こすため、体に対しての効用があると言われています。
(出典:環境省「温泉療法のイ・ロ・ハ」/https://www.env.go.jp/nature/onsen/docs/ha.pdf

特に「療養泉」は、一般適応症と泉質別適応症があり、療養の際に役立つ温泉です。

当記事では、そんな温泉の効果や入浴の効果、および泉質別の温泉の効能について解説いたします。
 

温泉の定義とは?

そもそも「温泉」とは、どんなお湯を指すのでしょうか。温泉医科学研究所では、以下のように説明されています。
 
温泉の定義

地中から湧き出る水、水蒸気、その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)のうち、定められた規定量以上の化学成分を含むもの、あるいは、温度が25℃以上あるものを温泉法では「温泉」と定義しています。
(引用:温泉医科学研究所「そもそも温泉ってなに?」/https://www.onsen-msrc.com/knowledge/contents/onsentowa.html

環境省では、10種類の「療養泉」を定めており、泉質を問わず共通する一般適応症と、泉質ごとに異なる泉質別適応症があります。そのため、温泉旅行に出かけるときはもちろん、温泉療養に行く際には、記事後半で紹介する各泉質の特徴について知っておくと、何かと役立つでしょう。

「入浴」で得られる3つの効果

温泉にはいくつかの効能がありますが、温泉医科学研究所によれば、温泉だけでなく通常の入浴自体にも3つの効果があるとされています。
 
静水圧作用
湯船につかると、水からの圧力(静水圧)により、全身に軽度の圧力がかかります。この圧力により、内臓や全身が刺激され、緩やかなマッサージ効果が生み出されます。リンパ液や血液の循環も活発化されるので、足の疲れやむくみ解消に効果的です。
 
温熱作用
入浴により、体が温まると、末梢血管をはじめとした血管が広がり、血の巡りが良くなります。新陳代謝の活性化が期待できるため、疲労回復につながります。また、ぬるま湯であれば「副交感神経」が優位に立ち、リラックス効果が期待できます。
 
浮力作用
お湯に浸かると、浮力の作用により、関節や筋肉にかかっていた負担が小さくなります。筋肉も緩み、体や脳がリラックスされると言われています。

(出典:温泉医科学研究所「だから温泉はカラダにいい」/https://www.onsen-msrc.com/knowledge/contents/dakara.html

【泉質別】温泉の効能

療養泉は、含有成分や温度などによって種別が分かれています。ここでは、各療養泉の泉質別適応症をメインに、効能を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

なお、以下の内容や効能に関しては、環境省が公開している資料「温泉療法のイ・ロ・ハ」に基づいて記載しています。また、全ての泉質が持つ一般適応症は以下の通りです。

【一般適応症】
*浴用に適応症がある泉質
●    末梢循環障害
●    冷え性
●    高血圧(軽症)
●    耐糖能異常(糖尿病)
●    高コレステロール血症
●    胃腸機能低下
●    関節リウマチ
●    自律神経不安定症
●    不眠症
●    うつ症状
●    筋肉や関節の慢性的な痛みやこわばり
●    運動麻痺による筋肉のこわばり
●    喘息・肺気腫(軽症)
●    痔の痛み
●    病後回復期
●    疲労回復・健康増進
(出典:環境省「温泉療法のイ・ロ・ハ」/https://www.env.go.jp/nature/onsen/docs/ha.pdf)

単純温泉

単純温泉は、溶存成分(ガス成分を除く)が1,000mg/kg未満で、泉温が25℃以上のものという定義です。アルカリ性単純温泉の場合は、pHが8.5以上となります。

効能は、一般適応症のものが基本となり、浴用であれば自律神経不安定症・不眠症・うつ症状などが挙げられます。
 

二酸化炭素泉

二酸化炭素泉は、二酸化炭素を1,000mg/kg以上含むお湯で、湯船に浸かると気泡が身体に付着するのが特徴です。皮膚から炭酸ガスが吸収され、保温効果・循環効果などもあります。

【二酸化炭素泉ならではの効能】
*浴用に適応症がある泉質
●    きりきず
●    皮膚乾燥症

*飲用に適応症がある泉質
●    耐糖能異常(糖尿病)
●    胃十二指腸潰瘍
●    逆流性食道炎
●    痛風

塩化物泉

熱の湯とも呼ばれ、陰イオンの主成分が、塩化物イオンのお湯です。塩分が皮膚に付着するので、二酸化炭素泉同様、保温効果・循環効果があります。

【塩化物泉ならではの効能】
*浴用に適応症がある泉質
●    きりきず
●    皮膚乾燥症

*飲用に適応症がある泉質
●    便秘
●    萎縮性胃炎

硫酸塩泉

陰イオンの主成分が、硫酸イオンのお湯です。浴用の硫酸塩泉を飲むと、胆のうが収縮され、腸のぜん動が活発化されます。

【硫酸塩泉ならではの効能】
*浴用に適応症がある泉質
●    きりきず
●    皮膚乾燥症

*飲用に適応症がある泉質
●    高コレステロール血症
●    便秘
●    胆道系機能障害

含鉄泉

鉄(Ⅱ)イオン・鉄(Ⅲ)イオンを、合計で20mg/kg以上含むお湯です。空気に触れると、色が金色に変わるのが特徴となっています。

【含鉄泉ならではの効能】
*飲用に適応症がある泉質
●    鉄欠乏性貧血

硫黄泉

総硫黄を2mg/kg以上含むお湯で、殺菌力が強いのが特徴です。アトピー原因物質や、表皮の細菌などを取り除くと言われています。

【硫黄泉ならではの効能】
*浴用に適応症がある泉質
●    アトピー性皮膚炎
●    尋常性乾癬(かんせん)
●    慢性湿疹
●    皮膚化膿症

*飲用に適応症がある泉質
●    耐糖能異常(糖尿病)
●    高コレステロール血症

酸性泉

水素イオンを1mg/kg以上含むお湯で、硫黄泉同様、殺菌力が強くなっています。また、お湯の酸性度合が強いと、入浴時に皮膚がしみ、口に含むと酸味を感じられます。

【酸性泉ならではの効能】
*浴用に適応症がある泉質
●    アトピー性皮膚炎
●    尋常性乾癬(かんせん)
●    表皮化膿症

放射能泉

ラドンを30×10⁻¹⁰10Ci/kg(8.25 マッヘ単位)以上含む温泉を指し、微量の放射能が身体の炎症に効果的と言われています。

【放射能泉ならではの効能】
*浴用に適応症がある泉質
●    痛風
●    強直性脊椎炎

含よう素泉

よう化物イオンを、10mg/kg以上含むお湯で、飲用には総コレステロールを抑制することが期待されています。一方で、甲状腺機能亢進症がある場合は注意が必要なので、医師の指示に従ってください。

非火山性の温泉に多い泉質で、ちなみに日本はよう素主要生産国としても知られています。

【含よう素泉ならではの効能】
*飲用に適応症がある泉質
●    高コレステロール血症

まとめ

温泉の泉質は、各温泉に含有されている化学成分の種類・含有量やお湯の温度などによって決められています。泉質は全部で10種類あり、泉質別適応症はそれぞれ異なります。

また、温泉には浴用だけでなく飲用もあり、泉質によっては固有の適応症があるので、泉質それぞれの特徴を知っておくと役立つでしょう。温泉に浸かると、温熱作用、物理作用、化学・薬理作用などによって、自分の体に対するポジティブな影響・リラックス効果を得ることができます。ぜひ、日頃の疲れを癒しに、温泉に訪れてみてはいかがでしょうか。