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糸柳ブログ

2022.10.28糸柳便り

温泉マークの意味・起源とは?ISOの温泉マークに変更されるの?

正式な温泉マークの湯気にあたる3本線には、実は意味があります。当記事では、温泉マークの意味と起源について解説します。温泉の効果的な入力方法や、ISOの温泉マークについても紹介するので、温泉について知識をつけたい方はぜひ、参考にしてください。

地図記号の「温泉マーク」を目にしたことがある人は多いでしょう。温泉マークを見たことはあるものの、温泉マークの3本線に意味があることを知っている人はどのくらいいるでしょうか。

当記事では、温泉マークの意味や発祥、また温泉医科学研究所が推奨している温泉の効果的な入浴方法について解説します。近年、新たにできたISOの温泉マークについても紹介するので、温泉マークについてより深く知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
 

温泉マークの意味とは?

温泉マークの3本線は、温泉から立ち昇っている湯気を表現していると言われています。地図記号で見る3本線は、どれも同じ長さでした。昭和23年に温泉法が制定されたときに温泉マークに意味を持たせることが決まり、正式な温泉マークは3本線は同じ長さではなくなり真ん中の線だけ長くなりました。

温泉マークの3本線は、身体によい温泉の入り方、つまり推奨される入浴時間を表していると言われています。
 
一番左の線(中くらいの長さ) 最初の入浴は5分程度でほどほどの長さにする
真ん中の線(一番長い) 2回目は8分程度でじっくり湯に浸かる
一番右の線(一番短い) 最後は3分程度でさっと入る

5分→8分→3分といった入浴時間を表しています。この入浴方法は、湯あたりを防止し、身体の芯まで温めることができるとされています。

温泉の効果的な入り方

次に、推奨されている温泉の効果的な入浴法を詳しく見てみましょう。
 
(1) 温泉に入る前に、かけ湯をしましょう。温泉の温度に身体を慣らすために行うので、胸から遠い場所から順番に10回程度かけ湯をすることをおすすめします。
 
(2) 浴槽に浸かるときは、まずは半身浴で身体を慣らしましょう。いきなり全身を浸かると、水圧や温泉の温度により身体に負荷がかかります。また、浴槽には長時間浸かるのではなく、汗ばむぐらいに身体が温まったところで出るのがおすすめです。
 
(3) 浴槽から出た後、シャワーなどで身体を流さないようにしましょう。身体を洗い流すと、温泉の薬効成分も洗い流され、効果が薄れると言われています。身体を拭く際も、水滴をぬぐう程度にするのがポイントです。
 
(4) 浴室を出たら、水分補給をしてから身体を休めましょう。入浴中は身体から汗が流れ、体力を使います。ゆるま湯やスポーツドリンクを飲んで、30分ほど休憩をとることが重要です。休憩の間に湯冷めしないよう、休憩の前に身体と髪をよく乾かしましょう。
(出典:温泉医科学研究所「上手な温泉の入り方」/https://www.onsen-msrc.com/knowledge/contents/jyozu.html

温泉マークの発祥はいつ?

湯けむりが3本描かれている温泉マークは、江戸時代に生まれました。万治4年(1661年)に付近の農民の土地争いを治めるために、江戸幕府から評決文が出されました。評決文に添付されていた地図に磯部温泉を表した温泉マークが2つ描かれており、日本最古の温泉マークと言われています。そのため、磯部温泉には、磯部駅前の磯部詩碑公園内にある赤坂神社に「温泉記号碑」が立てられています。

「温泉マークの日」とは?

2月22日は「温泉マークの日」です。温泉マークの日は、磯部温泉が日本最古の温泉マーク発祥地ということを広く知ってもらうために制定されました。群馬県安中市の磯部温泉組合が制定し、一般社団法人日本記念日協会から認定も受けています。2月22日に定めた理由は2つあります。
 
・温泉マークの湯気を表した3本線を、逆から見ると数字の2が3つ並んで見えるため
・温泉地にふさわしい3つの言葉「風景、風情、風味」の頭文字である「ふ」は数字にすると2を表すため

温泉マークの日には、磯部温泉街で「温泉マーク発祥まつり」を開催したり、無料入浴券を配布したりなど地域全体で特別なイベントが催されています。

磯部温泉の魅力

磯部温泉は美人の湯として知られており、泉質は食塩アルカリ性炭酸泉で、柔らかく優しい肌触りが特徴です。磯部温泉では7軒の温泉宿があり、宿泊をしなくても日帰り入浴施設や足湯などで磯部の湯が楽しめます。古くから旅人や病気やケガの療養のために、温泉を利用するお客さんが絶えず賑わっていたそうです。

磯部温泉の魅力は温泉だけではありません。昔から磯部温泉の名物である鉱泉水を使用して作られた「磯部せんべい」は、世代問わず定番のお土産品として今でも人気です。磯部温泉内では、「磯部せんべいサクサクツアー」も開催されています。全部で11店舗ある磯部せんべいのお店を食べ歩き、スタンプラリーのスタンプをすべて貯めると安中市のオリジナルグッズがもらえます。磯部温泉に行った際は記念にぜひ、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
 

「油屋熊八発祥説」とは?

温泉マークの起源は、磯部温泉発祥説以外にも、油屋熊八が考案したという説もあります。油屋熊八とは、さまざまなアイデアで別府の発展に尽力をした旅館経営者です。別府のPRのために、名刺やはっぴなどに好んで温泉マークを使用し、温泉マークは知名度を上げたと言われています。

油屋熊八について書かれた文献には、温泉マークのデザイン自体を考案したのが油屋熊八とするものもあります。しかし、油屋熊八が愛媛から別府に移住したのが明治44年(1911年)10月1日という記録が残っています。温泉マーク発祥の年代の違いを考えると「油屋熊八発祥説」は辻褄が合わないと言えるでしょう。
(出典:別府大学地域連携プログラム「「温泉マーク嵐」」由来記」/http://bud.beppu-u.ac.jp/modules/xoonips/download.php/bs01712.pdf?file_id=155
 

ISOの「温泉マーク」とは?

ISO(国際規格)とは外国人観光客にも分かりやすい世界基準の規格のことです。2014年に国土地理院は「外国人に分かりやすい地図表現検討会」を設置し、温泉マークやコンビニマークなどが見直されることになりました。2017年7月から新しい表示の使用がスタートしています。

ISOの温泉マークは、3人が温泉に浸かっている様子が表され、3人の上に、従来の温泉マークと同様に3本の湯気が描かれています。
 

温泉マークは選択制になっている!

従来の温泉マークはJIS(国内規格)となっているため、外国人からは「温かい料理」や「レストラン」に見えるという意見があります。そのため、東京オリンピックに向けてISOの温泉マークに置き換えられる予定でした。

しかし、温泉マーク変更についてのアンケート調査では、日本人と外国人で意見が分かれる結果となりました。日本人の63%がJISの温泉マークが分かりやすいと回答し、外国人の71%はISOの温泉マークが分かりやすいと回答しています。現在では、古くから使用されている温泉マークも残しつつ、状況に応じてISOの温泉マークを使用する新旧選択制がとられるようになりました。
(出典:経済産業省「温泉マークは選択制へ。ご意見も募集中です」/https://www.meti.go.jp/main/60sec/2017/20170203001.html
 

日本温泉協会の見解は?

日本温泉協会は、温泉から湯気が立ち昇っている様子を表した3本線が描かれている従来の温泉マークを支持しています。現行マークは国民に親しまれており、温泉業界の関係者や温泉ファンからは現在の温泉マークの存続を求める声が多くあがっていました。

日本温泉協会の大山正雄会長は、「説明すれば容易に分かる記号でもあり、350年以上の歴史や文化がある温泉マークを変える必要があるとは思えない」とコメントを発表しました。またコメントの最後には、「分かりやすいというだけの発想を受け入れがたく、従来の温泉マークを支持する」という言葉で締められています。
(出典:日本温泉協会「「温泉マーク」の見直しについて」/https://www.spa.or.jp/news/general/2137/
 

まとめ

温泉マークには意味があり、3本線は温泉から立ち昇る湯気が表現されていると同時に、3本線の長さの違いで、温泉に入る際に推奨される時間を表していると言われています。

また温泉マークは、万治4年に幕府が発行した評決文に付けていた地図に、磯部温泉の位置として使用されていたのが始まりです。そのため磯部温泉は、温泉マーク発祥の地として知られています。

現在の温泉マークは、従来のJISの温泉マークと、ISOの温泉マークがあり、状況に応じて選択可能です。